倉庫の当日出荷に向けた人員配置は、運送会社への引渡し時刻から梱包の締切を決め、ピッキング・検品・梱包それぞれの残作業を割り振る順番で考えます。「あと120件を7人で処理する」だけではなく、どの工程に何件残り、次の工程へいつ渡せるかまで確認することが必要です。返却から次の貸出までの期限に合わせて清掃の工程を割り振る例は、レンタカーの返却・清掃・貸出に間に合わせるスタッフ配置で扱っています。
以下では、引渡し15:30、梱包締切15:00の条件で、13〜15時の配置と工程別残数を表にします。最初の120件を7人で処理する計画に加え、14時に20件の追加受注が入った場合に、工程別の固定配置で最低10人が必要となる計算も示します。
数量、担当者、処理量、所要時間はすべて説明用の架空例です。 処理量は「現場でこの値が実測された」と仮定したもので、業界共通の標準値や出荷完了の保証ではありません。表はコピーし、自社の実績に置き換えて使ってください。
先に締切を決め、工程別の残数を数える
引渡し15:30から梱包締切15:00を決める
最初に区別したいのは、受注締切、梱包締切、運送会社への引渡し時刻の三つです。注文を受け付けた時刻と、倉庫の作業が終わる時刻は同じではありません。
今回の例では、運送会社への引渡しを15:30とします。最終照合と積込みに合わせて30分かかるという仮定から、梱包締切を次のように置きます。
梱包締切=引渡し15:30-最終照合・積込み30分=15:00 13時から梱包締切まで使えるのは2時間です。15:00〜15:30を通常の梱包能力に含めると、照合や積込みの時間がなくなるため、別枠として確保します。
現場では、同じ便・荷量・担当人数で測った所要時間を使ってください。積込み場所への移動や便別の仕分けが必要なら、その時間も含めます。この例の30分は全国共通の基準ではなく、予備時間を別途上乗せしていない仮定です。遅れへの余裕を取る場合は、梱包締切をさらに前倒しします。
工程別残数を重複なく入力する
残数は、同じ注文を複数の欄に入れないように数えます。この例では1注文を1件とし、1注文につき1梱包、注文間の作業負荷はおおむね同じと仮定します。
- 未ピック:注文の商品を棚から取り出す工程が完了していない。
- 検品待ち:ピッキング済みで、商品と数量の照合が完了していない。
- 梱包待ち:検品済みで、箱詰めや送り状貼付が完了していない。
- 梱包済み:梱包は完了しているが、運送会社への引渡しは別途必要。
次の表の「現場入力」欄へ、同じ集計時刻の値を入れます。
| 確認項目 | 現場入力 | 今回の架空例 |
|---|---|---|
| 運送会社への引渡し時刻 | __:__ | 15:30 |
| 最終照合・積込みの所要時間 | __分 | 30分 |
| 逆算した梱包締切 | __:__ | 15:00 |
| 残数の集計時刻 | __:__ | 13:00 |
| 未ピック | __件 | 70件 |
| 検品待ち | __件 | 30件 |
| 梱包待ち | __件 | 20件 |
| 梱包済み | __件 | 0件 |
| 当日対象の合計 | __件 | 120件 |
初期値は、70+30+20+0=120件です。今回は欠品や確認保留、工程途中の注文がない状態から始めます。実際に保留品がある場合は、通常の残数と区別して内訳を持ち、解消担当と復帰予定時刻を記載してください。
ここで注意したいのが、現在の待ち件数と、締切までにその工程を通る件数は異なることです。13時の検品待ちは30件でも、これからピックする70件も検品を通るため、検品の残作業は100件あります。梱包には全120件が残っています。
7人で120件を流す配置表
ピッキング・検品・梱包の担当と処理上限を置く
人数を割り当てる前に、誰がどの工程を担当できるかを確認します。今回の7人は下表の工程に対応でき、全員が13:00〜15:30に勤務可能とします。必要な休憩はこの枠外に確保され、13〜15時に他業務への呼出しはないという前提です。
処理量は、ピッキングが1人1時間20件、検品が30件、梱包が20件。担当人数は両時間帯とも、ピッキング2人、検品2人、梱包3人です。
| 担当者 | 担当可能工程(この例) | 1人1時間の処理量 | 13:00〜14:00 | 14:00〜15:00 |
|---|---|---|---|---|
| A | ピッキング | 20件 | ピッキング | ピッキング |
| B | ピッキング | 20件 | ピッキング | ピッキング |
| C | 検品 | 30件 | 検品 | 検品 |
| D | 検品 | 30件 | 検品 | 検品 |
| E | 梱包 | 20件 | 梱包 | 梱包 |
| F | 梱包 | 20件 | 梱包 | 梱包 |
| G | 梱包 | 20件 | 梱包 | 梱包 |
各時間帯の数量上限は、次の式で求めます。
処理上限=担当人数×1人1時間の処理量×実作業時間(時間単位) 1時間なら、ピッキング40件、検品60件、梱包60件です。ただし、この上限をそのまま処理予定数にはしません。検品にはピック済みの商品、梱包には検品済みの商品が必要だからです。
今回の計画では、検品を各時間帯50件とし、上限60件との差を使い切らない配置にします。これは50件が検品能力の限界という意味ではなく、照合差異などへの対応余地を残した計画値です。
| 時間帯 | ピッキング人数 | 検品人数 | 梱包人数 | ピック処理予定/上限 | 検品処理予定/上限 | 梱包処理予定/上限 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 13:00〜14:00 | 2人 | 2人 | 3人 | 40/40件 | 50/60件 | 60/60件 |
| 14:00〜15:00 | 2人 | 2人 | 3人 | 30/40件 | 50/60件 | 60/60件 |
梱包は2時間とも上限まで使う計画です。資材切れや手直しが起きたときに、そのまま吸収できる余裕はありません。配置表を承認する際は、人数だけでなく、この余裕の有無も責任者が確認します。
13時・14時・15時の処理済みと残数を検算する
工程間の移動は、次の四つの式で確認できます。
- 未ピックの次時点残数=前時点の未ピック-今回のピック処理数
- 検品待ちの次時点残数=前時点の検品待ち+今回のピック処理数-今回の検品処理数
- 梱包待ちの次時点残数=前時点の梱包待ち+今回の検品処理数-今回の梱包処理数
- 梱包済み累計=前時点の梱包済み+今回の梱包処理数
この式を使うと、完成例は次のようになります。
| 時点 | 未ピック | 検品待ち | 梱包待ち | 梱包済み累計 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 13:00・開始時 | 70件 | 30件 | 20件 | 0件 | 120件 |
| 14:00・計画値 | 30件 | 20件 | 10件 | 60件 | 120件 |
| 15:00・計画値 | 0件 | 0件 | 0件 | 120件 | 120件 |
14時の検品待ちは30+40-50=20件、梱包待ちは20+50-60=10件です。続く1時間でピック30件、検品50件、梱包60件を処理すれば、15時に全120件が梱包済みとなります。
前工程からの供給も確認しましょう。13時台の検品対象は、開始時の30件と新たにピックする40件を合わせた70件。その範囲内で50件を検品します。梱包対象も開始時20件+検品50件=70件で、梱包予定60件を上回っています。
14時台は、検品対象が20+30=50件、梱包対象が10+50=60件です。どちらも予定数と一致します。
ただし、1時間の合計が合っていても、商品を時間帯の最後にまとめて渡す運用では成立しません。 この例は、完了した注文を小分けで次工程へ随時渡し、搬送による追加の待ち時間が生じない前提です。後半1時間は、例えば次のように進めます。
| 時間帯 | ピック処理数 | 検品処理数 | 梱包処理数 |
|---|---|---|---|
| 14:00〜14:30 | 20件 | 30件 | 30件 |
| 14:30〜15:00 | 10件 | 20件 | 30件 |
ピッキングは残り30件を2人で進め、14:45までに完了させる想定です。最後の商品が検品・梱包を通る時間を残します。現場では最終注文の受渡し時刻も確認し、必要に応じて15分単位などへ表を細分化してください。
14時に追加20件が来たら再計算する
14時には、予定どおり進んだことを前提にせず、実績の残数へ更新します。ここでは計画と一致しており、さらに未ピックの注文20件が追加されたと仮定します。
追加後は、未ピック50件、検品待ち20件、梱包待ち10件、梱包済み60件。対象は合計140件です。梱包締切が15:00のままなら、残り時間は1時間しかありません。
工程別の固定配置では最低10人が必要になる
各工程がこれから処理する件数を積み上げ、1人当たりの能力で割ります。
工程別必要人数=残りの工程処理件数÷残り時間÷1人1時間の処理量を切り上げ
| 工程 | 残りの処理件数 | 計算 | 必要人数 | 現在人数 | 不足 |
|---|---|---|---|---|---|
| ピッキング | 50件 | 50÷1÷20=2.5 | 3人 | 2人 | 1人 |
| 検品 | 50+20=70件 | 70÷1÷30≒2.34 | 3人 | 2人 | 1人 |
| 梱包 | 50+20+10=80件 | 80÷1÷20=4 | 4人 | 3人 | 1人 |
| 合計 | ― | ― | 10人 | 7人 | 3人 |
14〜15時の担当を工程別に固定する今回の条件では、最低10人が必要です。 応援を追加するなら、ピッキングにH、検品にI、梱包にJを1人ずつ配置する形になります。単に3人集めるのではなく、それぞれの工程を担当できることが条件です。
この10人は、工程別に人数を切り上げた数量能力上の下限です。全員が複数工程を担当し、短時間で持ち替える別の配置モデルの最少人数を示すものではありません。
一方、既存7人だけでは、仮に自由に工程を移動できても総作業時間が足りません。残作業に必要な延べ時間は、次のとおりです。
50÷20+70÷30+80÷20=約8.83人時 7人が残り1時間働ける量は7人時なので、全件完了には不足します。元の配置のままなら、梱包できるのは残り60件まで。元の120件を優先する場合、追加20件はこの便に向けた梱包を終えられない計画です。
また、10人そろっても梱包4人は80件で能力を使い切ります。前工程からの供給が遅れる場合や作業台が足りない場合まで、完了を保証する計算ではありません。
不足時は応援の到着時刻と出荷約束を判断する
不足が判明したら、責任者は次の順に条件を確認します。
- 応援が実際に作業を始められる時刻を確認する。
移動、作業説明、端末準備を終えた時刻を使います。14:15開始の梱包応援1人なら、能力は20件×45分÷60分=15件。既存3人の60件と合わせても75件で、必要な80件に5件届きません。
- 対応工程と、必要な教育・現場の作業条件を確認する。
ピッキングの応援経験だけで、検品や設備操作まで担当可能と扱わないでください。機械を使う作業がある場合は、現場の安全手順と必要な教育・資格を担当者が確認します。
- 出荷約束と利用できる便を確認する。
追加分を別便へ回せるか、翌日出荷への変更が必要かを、営業・受注担当や運送会社と確認します。別便の利用が決まっていない段階で、引渡し時刻を延ばした計画にはしません。
- 承認された対象注文と配置へ更新する。
当日便に載せる注文、保留する注文、変更後の担当者を確定し、現場へ伝えます。数量表だけでなく注文IDの一覧も更新し、誰にどの出荷予定を案内したかを残してください。
追加20件によって、最終照合・積込みが30分で済まなくなる可能性も確認が必要です。所要時間が延びるなら梱包締切を前倒しし、人数を計算し直します。「追加分だけ梱包に間に合えばよい」とは判断しません。
配置表を現場の値へ置き換える
まず置き換えるのは、1人当たりの処理量です。SKU構成、1注文の商品点数、棚までの歩行距離、梱包形態が今回の仮定と違う場合は、作業条件を分けて測ってください。
例えば、通常梱包とギフト包装を同じ「1件」で集計するなら、それぞれの件数と所要時間を残します。作業負荷の異なる注文を一つの平均だけで扱わず、残っている注文の内訳に対応する処理量を選びます。多品種注文で一部の商品が未ピックなら、その注文を完了扱いにしないことも重要です。
測定時は、通常の歩行、資材の取り出し、ラベル発行などをどこまで含めたかを記録します。処理量の測定に含めた作業時間を、配置計算で再び差し引かないようにしてください。反対に、含めていない棚補充や設備清掃を同じ担当者へ任せるなら、その時間は別に控除します。
担当者ごとに処理量が違う場合は、「人数×平均値」よりも、各人の能力を足す方法を使います。
工程の処理能力=各担当者の「1時間当たり処理量×その工程に充てる時間」を合計 ここでいう時間は、その工程に実際に充てられる時間です。別工程の応援と二重計上しないよう、移動元の能力も減らします。作業台や端末を増やせない場合も、人を追加した分だけ能力が増えるとは置かず、設備を含めた計画へ修正してください。
休憩と実績を更新し、引渡し完了を別に照合する
今回の表では、13〜15時に7人全員が作業できると仮定しました。実際の配置では、その日の勤務全体から法定休憩と取得時刻を確認します。
労働基準法第34条では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与える必要があります(2026-09-30時点)。(厚生労働省)
出荷の締切を理由に必要な休憩を削るのではなく、取得中の人を処理能力から外してください。例えば14〜15時に梱包担当1人が30分休憩するなら、その人の計算上の能力は20件ではなく10件です。
進捗更新では、WMS(倉庫管理システム)を使っている場合、どの実績状態を「ピック済み」「検品済み」「梱包済み」と扱うかを確認します。配置表の予定数を、そのまま処理実績として記録してはいけません。WMSがなければ、注文別の作業記録と現物を照合して更新します。
確認するのは合計件数だけではありません。注文ごとの商品、数量、送り状、配送指定が一致しているかを確認し、差異のある注文を通常の完了数へ混ぜない運用にします。
15時以降の担当も先に決めます。この架空例では、C・Dが最終照合、A・B・E・F・Gが所定の手順による積込みを担当する想定です。照合と積込みを30分で実施できるかは、この担当体制で別に確かめてください。
15:00に120件が梱包済みでも、15:30に120件を引き渡したことにはなりません。 最終照合後、運送会社へ渡した対象、個口数、時刻を記録し、WMSなどの出荷記録と突き合わせます。未引渡し品が残った場合は、梱包済みの数とは分けて責任者へ報告します。
シフト作成へ反映する範囲
シフト管理へ反映するのは、「当日7人必要」という合計だけではありません。13〜14時と14〜15時それぞれについて、勤務可能な人、担当できる工程、工程別必要人数、休憩時間を条件として整理します。
シフトラでは、シフト希望や自然な日本語で入力した現場ルールをもとに、シフト案を自動生成します(2026-09-30時点)。(シフトラ公式サイト)
今回の例を反映する際は、勤務可能時間と担当技能を整理し、計算した必要人数を生成条件へ入力します。「検品を担当できるのはC・D」「13〜15時の梱包には3人必要」といった条件を明示し、生成された案で必要な人が勤務できるかを確認してください。案の確定と、現場での担当指示は管理者が行います。
ここでの自動生成は、入力した条件に基づくシフト案の作成です。WMSや配送システムとの自動連携を前提に、追加受注の取込み、工程残数の自動集計、締切に合わせた現場配置の自動変更まで任せられるという説明ではありません。残数の更新、必要人数の再計算、出荷可否の判断は別に残ります。
まず13時の工程別残数から配置を組み、14時の実績と追加受注で再計算する。そのうえで、15時の梱包完了と15:30の引渡し完了を分けて確認することが、当日出荷の締切を守るための判断手順です。