デイサービスの入浴介助に必要な職員人数は、入浴する利用者数だけで決めず、介助区分ごとの所要時間、使える浴室、時間帯ごとの役割分担を並べて検討します。「出勤は7人」でも、送迎中の職員やフロア担当を、そのまま浴室へ配置することはできません。
入浴日の利用者数や職員の担当可否が分かっている管理者・リーダーに向けて、職員7人・入浴18人の架空例から、当日配置表を作る手順を示します。開始が15分遅れた日と、職員1人が欠勤した日の修正版も掲載します。
以下の人数・時間は計算用の仮定であり、全国共通の標準値や安全を保証する人数ではありません。人員配置基準・加算要件の適否、介助技術、感染対策の手順は対象外です。制度上の判断は指定権者等へ、介助方法は施設の専門職へ確認してください。公開資料の確認日は2026-09-22時点です。
入浴介助の人数は「時間帯×役割」で決める
まず、出勤者名簿とは別に、時間帯ごとの担当表を作ります。浴室の担当を先に埋めるのではなく、フロア、外介助、看護、昼食準備に残す人を確認してから、中介助へ割り当てましょう。
厚生労働省も、介護分野の業務改善の取組として、業務を明確にし、役割分担を見直すことを挙げています。(厚生労働省)
中介助・外介助・フロアの仕事を分ける
この例では、役割を次のように分けます。
| 役割 | 担当する仕事 |
|---|---|
| 中介助 | 浴室内の洗身・入浴介助。個浴は稼働レーンごとに1人 |
| 外介助 | 脱衣所での着脱、誘導、ドライヤーなど |
| フロア | 入浴していない利用者の見守り、水分提供、トイレ誘導、レクリエーション |
| 看護 | 体調・バイタル確認、施設の手順に沿った入浴可否の確認、処置 |
| 昼食準備 | 食事開始に向けた準備 |
外介助は、浴室の空き時間だけ行う仕事として扱わず、担当を固定します。着脱待ちが発生した場合は、その待ち時間も記録し、中介助を増やすべきか、外介助を補うべきかを分けて判断してください。
配置前に利用者・浴室・職員の条件をそろえる
以下は、定員25人、当日利用22人、入浴希望18人の事業所を想定した架空例です。「フロア常時2人以上」「外介助1人以上」は、この例で置く施設内の運用条件であり、法定人数を示すものではありません。
入浴人数を介助区分ごとの所要時間に置き換える
| 介助区分 | 人数 | 1人分の計画時間 | 使用する浴室 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 見守り | 8人 | 15分 | 個浴 | 120分 |
| 一部介助 | 7人 | 20分 | 個浴 | 140分 |
| 全介助 | 3人 | 30分 | 機械浴 | 90分 |
ここでいう時間は、湯船につかる時間ではなく、入替えや必要な引継ぎを含めて浴室レーンを占有する計画時間です。15・20・30分は公的な目安ではなく、計算を説明するための仮定としています。
自施設では、浴室内の時間と、誘導・着脱など浴室外の時間を分けて測り直してください。厚生労働省の資料でも、タイムスタディで職員の業務時間を測定し、業務の偏りや役割分担を確認する方法が示されています。(厚生労働省)
浴室・担当可否・送迎・昼食の時刻を確認する
| 項目 | 架空例の条件 |
|---|---|
| 浴室 | 個浴2レーン、機械浴1レーン |
| 入浴時間 | 9:30〜11:45 |
| 介護職 | K1〜K6の6人 |
| 中介助が可能 | K1〜K5 |
| 機械浴が可能 | K1・K2 |
| 送迎 | K5・K6は9:45に帰着 |
| 看護職員 | N1の1人 |
| 昼食準備 | 11:45から2人必要 |
機械浴は、対象者・機器・施設手順上、表の担当人数で実施できると仮定します。同時に複数人の介助が必要なら、その時間の応援を別に確保しなければ、この表は使えません。
N1は、フロア内で看護業務と見守りを両立できる時間に限り、フロア人数にも含めます。別室での処置などで見守りを担えない場合は、代替担当を配置するか、入浴レーンを一時停止する前提です。
また、帰着時刻と担当開始時刻に差がある施設では、降車対応や申し送りを終える時刻に置き換えます。
所要時間を「レーン数×使える時間」と比較する
個浴と機械浴は、別々に計算します。機械浴に空きがあっても、個浴の不足をそのまま補えるとは扱いません。
| 浴室 | 必要な時間 | 使える時間 | 差 |
|---|---|---|---|
| 個浴 | 8人×15分+7人×20分=260分 | 2レーン×135分=270分 | 10分 |
| 機械浴 | 3人×30分=90分 | 9:45〜11:15の90分 | 0分 |
個浴の余裕10分は、2レーンを合計した余裕です。全員が11:35に終わるという意味ではありません。
合計の比較後は、各レーンへの時間配分が収まるか確かめます。この例では、個浴1に見守り5人・一部介助3人を置くと135分、個浴2に見守り3人・一部介助4人を置くと125分。9:30開始なら、それぞれ11:45、11:35に終了する計算です。
ただし、この計算は浴室側の確認にすぎません。外介助1人で着脱や誘導を処理できるか、看護対応と重ならないかも確認し、待ち時間が出る場合は利用者の順番や人数を修正します。
職員7人・入浴18人の当日配置表を作る
30分刻みの当日スケジュールとして、9:45の帰着や11:15の機械浴終了など、担当が変わる時刻で行を分けます。表の「個1/個2/機械」は、それぞれの中介助担当です。
| 時間帯 | 中介助:個1/個2/機械 | 外介助 | フロア | 看護 | 昼食準備・その他 |
|---|---|---|---|---|---|
| 9:30〜9:45 | K1/K2/― | K3 | K4・N1※ | N1※ | K5・K6:送迎 |
| 9:45〜10:00 | K1/K5/K2 | K3 | K4・K6 | N1 | ― |
| 10:00〜10:30 | K1/K5/K2 | K3 | K4・K6 | N1 | ― |
| 10:30〜11:00 | K1/K5/K2 | K3 | K4・K6 | N1 | ― |
| 11:00〜11:15 | K1/K5/K2 | K3 | K4・K6 | N1 | ― |
| 11:15〜11:30 | K1/K5/― | K2・K3 | K4・K6 | N1 | ― |
| 11:30〜11:45 | K1/K5/― | K2・K3 | K4・K6 | N1 | K5は11:35終了後、片付け |
| 11:45〜12:00 | ―/―/― | K5 | K4・K6 | N1 | 昼食準備:K2・K3、片付け:K1 |
※N1の兼務は実人数1人として数えます。看護と見守りを両立できるという、この例の条件付きです。
9:30〜9:45は施設内の5人で開始します。個浴2の最初の15分枠を終えたK2が、9:45にK5へ引き継ぎ、機械浴へ移る流れです。機械浴は30分枠を3人分続け、11:15に終了します。
11:45には、外介助をK5へ引き継いでK2・K3を昼食準備へ回します。入浴終了と同時に外介助までゼロにせず、入浴後の対応を残した配置です。
フロア2人以上を時間帯ごとに数え直す
担当者名を書いたら、人数だけを抜き出して確認します。看護とフロアの兼務者を二重計上しないようにしてください。
| 時間帯 | フロア | 外介助 | 昼食準備 | 施設内の実人数 |
|---|---|---|---|---|
| 9:30〜9:45 | 2人 | 1人 | 0人 | 5人 |
| 9:45〜10:00 | 2人 | 1人 | 0人 | 7人 |
| 10:00〜10:30 | 2人 | 1人 | 0人 | 7人 |
| 10:30〜11:00 | 2人 | 1人 | 0人 | 7人 |
| 11:00〜11:15 | 2人 | 1人 | 0人 | 7人 |
| 11:15〜11:30 | 2人 | 2人 | 0人 | 7人 |
| 11:30〜11:45 | 2人 | 2人 | 0人 | 7人 |
| 11:45〜12:00 | 2人 | 1人 | 2人 | 7人 |
9:30〜9:45も、送迎中の2人を加えた出勤者は7人です。表の人数だけでなく、トイレ誘導などで担当が離れる際の受け持ちも申し合わせておきます。
個浴1の開始が15分遅れた日は、午前の人数を見直す
個浴1が9:45開始になると、使える時間は120分へ減ります。
- 個浴の供給:120分+135分=255分
- 当初の需要:260分
- 不足:5分
この例では、見守り1人分の15分枠を午後へ変更すると、需要は245分になります。5分不足だからと、複数人の介助時間を少しずつ削る計画にはしません。
修正版の浴室側配置は次のとおりです。外介助・フロア・看護・昼食準備は通常表を維持し、K1は9:30〜9:45を開始準備に充てます。
| レーン | 午前の対象者 | 担当 | 実施時間 |
|---|---|---|---|
| 個浴1 | 見守り4人・一部介助3人=120分 | K1 | 9:45〜11:45 |
| 個浴2 | 見守り3人・一部介助4人=125分 | K2→9:45からK5 | 9:30〜11:35 |
| 機械浴 | 全介助3人=90分 | K2 | 9:45〜11:15 |
午前の入浴は17人となり、午後へ回す1人は、本人の希望、体調、ケア計画、午後の職員配置を確認して決めます。午後の担当と時間が確保できない場合は、「午後へ変更」と記すだけで終わらせず、入浴機会の確保を関係者と調整してください。
K6が欠勤した日は、欠ける役割から組み直す
K6が欠勤した日に通常表から名前だけを消すと、9:45以降のフロアがK4の1人になります。元の担当を固定したままでは、フロア・外介助・昼食準備の条件を同時に維持できません。
ただし、欠勤したら必ず3人減らす、という計算ではありません。看護職員の兼務範囲や片付けの分担によって、組める案は変わります。
ここではN1がフロアの見守りも担えることを確認し、昼食前の片付けと担当交代の時間を確保するため、午前の入浴を15人へ減らす修正案とします。
見守り3人の予定を調整すると、個浴の需要は次のようになります。
見守り5人×15分+一部介助7人×20分=215分 11:30までの供給は2レーン×120分=240分。個浴1を見守り4人・一部介助3人の120分、個浴2を見守り1人・一部介助4人の95分に分ければ、K1は11:30に浴室内業務を終えられます。
同じ担当が続く区間をまとめた修正版は、以下のとおりです。
| 時間帯 | 中介助:個1/個2/機械 | 外介助 | フロア・看護 | 昼食準備・その他 |
|---|---|---|---|---|
| 9:30〜9:45 | K1/K2/― | K3 | K4・N1※ | K5:送迎 |
| 9:45〜11:05 | K1/K5/K2 | K3 | K4・N1※ | ― |
| 11:05〜11:15 | K1/―/K2 | K3 | K4・N1※ | K5:片付け |
| 11:15〜11:30 | K1/―/― | K3 | K4・N1※ | K2・K5:片付け |
| 11:30〜11:45 | ―/―/― | K2 | K4・N1※ | K1・K3:昼食準備への切替、K5:片付け |
| 11:45〜12:00 | ―/―/― | K2 | K4・N1※ | 昼食準備:K1・K3、片付け:K5 |
※N1が看護を担当し、両立できる範囲でフロアの見守りも担う仮定です。
施設内の実人数は9:45まで5人、その後は6人。各区間でフロア2人、外介助1人を置き、11:45には昼食準備2人を確保しています。
この案でも、N1が見守りを担えない時間があれば成立しません。その場合は応援の確保、稼働レーンの縮小、さらなる人数・時間の調整に戻ります。15人という結果だけを自施設へ当てはめないでください。
朝の申し送りと変更記録を配置表につなげる
厚生労働省は、報告・申し送りを効率化し、情報共有の時間差を減らすことも業務改善の取組に含めています。(厚生労働省)
朝の申し送りでは、配置表と利用者の順番を一緒に確認します。共有する項目は、次の範囲に絞ると担当交代まで追えます。
- 入浴人数、介助区分、各レーンの開始・終了予定
- 9:45の引継ぎと、送迎が遅れた場合の連絡先
- フロア・外介助の担当と、離席時の代替担当
- 遅れが余裕を超えたときの調整対象と判断者
- 昼食準備へ移る職員と引継ぎ時刻
終了後は、予定と実際の開始・終了時刻、着脱待ち、変更した担当・対象者・理由を記録します。次回は記録を基に所要時間を置き換え、同じ箇所で遅れるなら外介助の配置や入浴順を修正しましょう。
役割別の必要人数をシフト管理へ反映する
継続して使うなら、「中介助ができる」「機械浴ができる」といった担当可否と、時間帯ごとの必要人数を別々に管理します。
シフトラでは、スキル・担当ごとの必要人数と、その役割を担当できる職員を設定し、希望収集と必要人数の確認を経てAIがシフト案を作成します(製品情報は2026-09-05時点の機能一覧に基づく)。今回の例なら「機械浴の担当候補はK1・K2」「入浴日の午前は中介助3人」のように条件を整理して登録します。(シフトラ)
条件の登録と、当日の配置が成立することの確認は別です。利用者ごとの所要時間、看護と見守りの兼務、午後へ変更する対象者は施設側で決めます。本文の表がそのまま自動割当されることや、制度上の適合が保証されることを意味しません。
月間シフト全体の組み方は、関連記事「介護のシフト作成のコツ」で扱っています。(シフトラ)
まずは本文の列構成を自施設の様式へ写し、実測した時間と担当可否に置き換えてください。入浴を終える時刻だけでなく、その間のフロアと昼食準備まで確認できる一枚に仕上げましょう。