デイサービスの送迎職員が出発前に欠勤したときは、代替の運転担当を決めるだけでなく、その職員が抜ける施設内の仕事まで引き継いでから、便の出発可否を判断します。 運転者・同乗者・車両・乗車予定を確認する作業と、送迎中の施設内配置を確認する作業は、分けて行いましょう。
例えば、第2便の運転担当Cが欠勤し、施設内でフロア準備をする予定だったEが代行するなら、Eの仕事を誰が引き受けるかも未解決です。以下では、第2便をE・D・V2に組み替え、フロア準備をF、受付をGとする架空例を使って、一枚の当日変更表を作ります。本文の表は手元の紙やExcelへ転記でき、未確認の条件を管理者へ戻すところまで使える構成です。
欠勤が分かったら、送迎表と施設内の役割表を一緒に開く
最初に開くのは、当日の送迎予定と勤務予定、施設内の役割表です。欠勤者の名前だけを書き換えるのではなく、変更の影響が及ぶ時間と仕事を特定します。
欠けた便と、代行者が抜ける仕事を拾う
今回の前提は次のとおりです。職員・車両・利用者番号・時刻はすべて架空で、実際の施設の運行実績ではありません。
- 第1便:8:10〜8:50、車両V1、利用者3人、運転A・同乗B。
- 第2便:8:20〜9:00、車両V2、利用者2人、運転C・同乗D。Cが欠勤。
- E:フロア準備の予定。V2を運転できることを事前確認済みという想定。
- F:フロア準備を引き受け可能。この例では、対象時間に競合する別業務はないものとする。
- G:受付を担当し、変更後も受付を維持する。
ここで空いたのは、第2便の運転席です。ただし、Eを代行にすると、今度はフロア準備が空きます。変更表には「C→E」だけでなく、「Eのフロア準備→F」も一組で記入してください。
A〜Gは変更に関係する職員だけを示しています。看護・介護など、施設全体に必要な職員をこの7人で充足しているという設定ではありません。
当日変更表は「送迎・施設内・確認記録」の三段にする
一枚の変更表を、上段は便、中段は施設内、下段は確認記録に分けます。以下に示す三つの表を同じシートに並べれば、職員の移動と残る仕事を続けて確認できます。
表の先頭には、対象日、作成者、更新時刻、版番号を記入しましょう。元の予定を残し、変更後の欄に担当者を書く方式なら、誰の仕事を移したかも追えます。
状態は、少なくとも「候補」「本人引受け済み」「条件確認済み」「管理者確定」を区別してください。連絡がついたことと、出発条件が整ったことは別です。未確認欄を空白のままにせず、「実車確認待ち」「Fの回答待ち」のように理由を残します。
本文の表は手入力用の記入例です。転記しただけで二重割当や配置基準が自動判定されるものではありません。
代行可能な職員と車両の条件を先に確かめる
代行候補を見つけたら、担当欄を確定する前に、その便を任せる条件を確認します。確認対象は職員だけでなく、車両と利用者の組み合わせです。
「運転できる」と「その便を任せられる」を分ける
免許の種類によって運転できる自動車の範囲は異なります(2026-09-28時点)。大阪府警察
実務では、候補者の免許の種類・条件・有効性と、使用する車両を照合します。「普段、自家用車を運転している」という情報だけで、V2の担当を確定しないでください。
そのうえで、今回の変更表では次の順に確認します。
- 担当時間を確保できるか:出発時刻だけでなく、準備・引継ぎ・帰着後の作業まで確認する。
- V2の操作を任せられるか:乗降設備や固定装置について、施設で定めた確認を行う。
- 利用者の介助条件を共有できるか:乗降時の支援、車内での見守り、到着先での引渡しを確認する。
- 本人が引き受けたか:依頼を送っただけでなく、担当範囲を理解した回答を記録する。
この例ではEを運転担当の候補にしますが、同乗Dはそのまま残します。Dを運転へ回して同乗者を省く案を採るなら、同乗の必要性から再確認が必要です。欠員を埋めるために、元の介助条件まで無断で変えないことが判断の出発点になります。
定員は車いす設定と同乗者の席まで照合する
車いす仕様車では、乗車位置やシート配置によって最大乗車人数が異なる例があります。トヨタ自動車の取扱説明書にも、レイアウト別の人数が示されています(2026-09-28時点で公開されている資料)。トヨタ自動車
変更表では、車検証上の乗車定員と、当日の車いす・座席設定で実際に使える乗車枠を分けて確認しましょう。取扱説明書と実車を見て、運転者と同乗職員の席も確保します。
以下の例で使う「利用者用有効定員3人」は、運転者1人・同乗職員1人の席を別に確保したうえで、利用者が乗れる枠が3人分あるという架空の設定です。車両全体の乗車定員が3人という意味ではありません。
V1は車いす設定時の利用者枠を3人、V2も利用者枠を3人と仮定します。ただし、車いすの寸法・固定方法、利用者の姿勢や介助条件まで、この人数から判断することはできません。実際の便では、利用者ごとの計画と車両設備を照合し、同乗の要否も確認してください。
2便の当日変更表を作る
条件を整理したら、まず送迎側の割当を記入します。変更する項目と維持する項目を明記し、後から読む職員が推測しなくて済む表にしましょう。
第2便はCからEへ変更し、同乗DとV2を残す
当日変更表・上段:欠勤後の送迎割当例
| 便 | 出発〜帰着予定 | 車両 | 運転担当 | 同乗担当 | 利用者の乗車予定 | 利用者用有効定員 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第1便 | 8:10〜8:50 | V1 | A・変更なし | B・変更なし | U01・U02・U03の3人 | 車いす設定時3人・仮定 |
| 第2便 | 8:20〜9:00 | V2 | C欠勤→E | D・変更なし | U04・U05の2人 | 3人・仮定 |
U01〜U05は架空の利用者番号です。公開された記事の表や公開共有シートに、実際の氏名・住所・介助情報を書き込む使い方は想定していません。
第2便では運転担当だけをEへ変更し、同乗D、車両V2、乗車予定2人を維持します。Eには、運転だけでなく、出発前の確認を含む担当範囲を伝えてください。この例では、8:10〜8:20をE・Dの準備と引継ぎの時間として扱います。
上段は割当の記入例であり、出発承認済みの表ではありません。手元の運用表へ移すときは、実車・介助条件・本人の引受けを確認するまで「未確定」として扱います。
3人と2人の乗車予定を、便ごとに検算する
人数は2便の合計だけでなく、便ごとに確認します。この例の利用者枠の計算は次のとおりです。
- 第1便:利用者用有効定員3人−乗車予定3人=余裕0人。
- 第2便:利用者用有効定員3人−乗車予定2人=余裕1人。
- 実際の乗車人数:第1便は職員を含め5人、第2便は職員を含め4人。
第2便に利用者枠が一つ残っていても、別の利用者をそのまま移せるとは判断しません。必要な座席や固定設備、介助条件が合うかを確認してから、乗車予定を変更します。
人数が一致していても、U03を二つの便へ記入し、U05を落としていれば送迎表は成立しません。利用予定者の一覧と照合し、全員が一つの便に入っているか、重複や抜けがないかまで確認してください。
なお、8:20〜8:50は2便が同時に動く想定です。Aを第2便の代行にも記入したり、V1を両方の便に使ったりする案は、元の時刻のままでは成立しません。
送迎中の施設内配置を時刻別に再検算する
送迎側の欄が埋まったら、施設内へ視点を戻します。Eを送り出した後の仕事が残っていないか、出発・帰着の境目ごとに調べましょう。
Eのフロア準備をFへ引き継ぎ、Gは受付を維持する
この例では、Eが担当予定だったフロア準備を8:10からFへ移します。Gは受付のままとし、フロア準備の補充として重ねて数えません。
引継ぎは「準備をお願いします」だけで終えず、残っている作業と完了の目安を伝えます。例えば、架空の引継ぎ内容として「机の配置確認、物品準備、受入動線の確認をFが担当し、完了を管理者へ報告する」と書けば、引受けの範囲が明確になります。
当日変更表・中段:8:10〜9:00の役割と確認事項
| 時間帯 | 送迎・出発準備 | フロア準備 | 受付 | 帰着後の作業 | 実運用で照合する未確定条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 8:10〜8:20 | A・BはV1で第1便。E・DはV2の準備・引継ぎ | Fへ変更 | Gを維持 | なし | E・Fの引受け、実車、利用者の介助条件 |
| 8:20〜8:50 | A・BはV1、E・DはV2で送迎 | F | G | なし | 施設に残る職種別配置、先着利用者がいる場合の対応 |
| 8:50〜9:00 | E・DはV2で第2便を継続 | F・準備完了を確認 | G | A・Bは第1便の降車介助・帰着処理 | 降車後の介護・見守り担当、サービス提供開始時の配置 |
F・Gの担当を埋めても、施設全体の配置確認が終わったわけではありません。特に第1便の利用者が到着する8:50以降は、降車介助から施設内の担当者へ誰が引き渡すかを、既存の配置表と照合してください。
入浴業務にも変更が及ぶ日は、デイサービスの入浴介助とフロア配置の表で、その時間帯の担当を別に検算してください。
A・Bが帰着する予定だからといって、8:50から別の業務へ即時に割り当てるのも避けます。この例では9:00までを帰着後の作業枠として確保しました。実際の所要時間に合わせて調整しましょう。
二重割当の確認と、人員基準の確認を分ける
まずは物理的に同時実行できるかを調べます。中段の表を横に読み、同じ時間帯に同一職員が二つの場所へ割り当てられていないかを確認してください。
この例では、Eは8:10以降、施設内のフロア準備には数えません。Fが準備、Gが受付を担当し、送迎中のA・B・Dも施設内の役割から外して考えます。これは当日の居場所と仕事の検算であり、人員基準上の勤務時間の算入方法を一律に決めるものではありません。
指定通所介護の人員基準には、職種別の配置に加え、単位ごとに介護職員を常時一人以上従事させる規定があります(2026-09-28時点)。厚生労働省
したがって、「施設にFとGの2人がいる」という合計だけで、基準を満たすとは判断しないでください。管理者は、自施設に適用されるサービス種別・提供時間・利用者数・職種・兼務条件を、現行の基準や指定権者の資料と照合します。
表の検算は8:10〜9:00を途切れなく行い、9:00の帰着時にも引継ぎを確認します。帰着が遅れた場合は、予定時刻で施設内へ戻った扱いにせず、遅れた区間を追加して再配置してください。
成立しない便は未確定に戻して連絡する
代行案ができても、必要な条件が一つでも未確認なら、その条件を残したまま管理者へ判断を戻します。「たぶん大丈夫」を確定欄へ置き換えない運用にしましょう。
EかFが未確認なら、出発確定に進めない
例えば、EのV2運転可否を確認できていなければ、第2便の運転欄は「E候補・未確定」です。Fの引受けが確認できていない場合は、運転担当が決まっていても、施設内の補充が未成立となります。
管理者へは、次のように不足を具体化して伝えます。
第2便はEが運転、Dが同乗、V2を使用する案です。Eが抜けるフロア準備はFへ依頼していますが、まだ回答がありません。施設内の代替が未成立のため、出発確定を保留しています。
代案を比較するときは、別の運転担当、施設内への応援、準備業務の組み替え、送迎時刻の変更などを検討対象にします。ただし、いずれも新しい担当・時刻を表へ入れ直し、同じ検算を通してください。
第1便の帰着後にAが第2便を担当する案も、8:20出発のままでは使えません。便をずらすなら、帰着処理と次便の準備時間を確保し、利用者側の待機や施設内の受入れへの影響まで管理者が判断します。
連絡は担当者・利用者側・受入側へ同じ版で行う
連絡先を整理し、職員への担当変更と、利用者・家族等への時刻変更を分けて伝えます。職員には「誰が、何時から何時まで、何を担当するか」、利用者側には必要な変更内容と次の連絡予定を示してください。
見込みが立っていない段階で、到着時刻を断定する必要はありません。「送迎体制を調整中です。○時までに改めてご連絡します」のように、分かっていることと次の連絡時刻を区別します。欠勤者の病名など、送迎の調整に不要な事情を説明する必要もありません。
連絡記録は「発信済み」「相手が確認済み」「再連絡が必要」を分けます。伝言を残しただけの相手を、確認済みにしないことが大切です。
また、医療・介護向けの個人情報保護ガイダンスでは、各職員の業務に応じ、必要な範囲だけ個人データへアクセスできる管理が例示されています(2026-09-28時点)。個人情報保護委員会
変更表には必要な参照番号を置き、住所や詳しい介助情報は、施設が認めた閲覧方法で担当者へ渡す運用を検討しましょう。番号に置き換えた表も、共有先を無制限に広げないでください。
次回に使える変更記録を残す
当日の対応が終わったら、変更後の担当と確認経緯を残します。次回へ引き継ぐのは「Eなら代行できた」という印象ではなく、どの車両・時間帯・条件で担当できたかという記録です。
空欄列で「誰が、何を、いつ確認したか」を残す
上段と中段の下に、次の確認欄を付けます。空欄は実運用時に記入する場所であり、確認済みを意味しません。
当日変更表・下段:実条件と連絡の記録欄
| 確認対象 | 記録する内容 | 結果・未確認事項 | 確認者・確認時刻 |
|---|---|---|---|
| Eの運転 | V2の運転条件、準備時間、第2便の引受け | ____ | ____ |
| Dの同乗 | 利用者2人の介助条件、引渡し方法 | ____ | ____ |
| Fへの引継ぎ | フロア準備の内容・完了目安、他業務との重複 | ____ | ____ |
| 車両と乗車予定 | V1は利用者3人+職員2人、V2は利用者2人+職員2人を実車照合 | ____ | ____ |
| 施設内配置 | 時間帯別の職種・役割、受入れ、適用基準との照合 | ____ | ____ |
| 変更連絡 | 連絡先、伝達内容、回答、使用した版番号 | ____ | ____ |
| 最終判断 | 出発可否、未成立の場合の代案と再判断時刻 | ____ | 管理者____ |
「確認者」には、入力した人ではなく、実際に確認した人を記入します。電話でFの引受けを確認したなら、その回答内容と時刻を残してください。
出発後に時刻や担当が変わった場合は、元の予定を消さず、変更時刻と実際の対応を追記します。紙の掲示と共有ファイルを併用するなら、どちらも同じ版へ更新し、古い表を参照しないよう周知しましょう。
代替候補は、募集の回答と確定配置を分けて管理する
日頃のシフト管理では、運転可能な車両、同乗・介助を担当できる範囲、対応できる時間帯を整理しておくと、欠勤時に確認する候補を絞れます。ただし、以前の引受けを今回の承諾として扱わず、当日の勤務と担当条件を確認してください。
シフトラのSOS機能は、応援募集とスタッフの対応可否・候補確認に利用できます(2026-09-05時点の製品情報。利用条件は要確認)。シフトラ
この機能で担当を指定することは、募集記録の更新であり、確定シフト表の自動更新とは別です。対応可と回答した候補についても、V2を運転できるか、施設内の補充が成立するかは管理者が確認します。候補が表示された段階で、便の自動割当や安全確認まで済んだとは扱いません。
今回の変更表で扱うのは、欠勤後の担当・車両・施設内役割の組み替えです。交通経路の最適化や、全国一律の配置基準の自動判定は対象にしていません。実際の資格・設備・利用者情報・施設基準・職員の引受けを照合し、送迎と施設内の両方が成立した便だけを、管理者の確認後に確定してください。