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飲食店の人件費率からシフトを組む手順|時間帯別の人時と最低人数の判断

飲食店の人件費率から時間帯別の人数を出し、シフトを組むガイド

飲食店で目標の人件費率をシフトに反映するには、売上に目標率を掛けるだけでなく、社員給与などを除いた予算を「使える労働時間」に直します。その時間を売上予測に沿って配分し、キッチン・ホールの最低人数と、同時に働ける上限で調整するのが基本です。

月の予算は決まっているのに、いつもの人数やシフト希望から勤務表を埋めてしまう。そんな店長・シフト担当者に向けて、40席の店を想定し、木曜の売上42万円から57人時の計画を作り、14人のシフトと人件費80,250円までつなげます。以下の店舗・売上・勤務・時給はすべて架空の計算例です。

飲食店の人件費率を、時間帯ごとに置ける人数へ直す

進める順番は「月の人件費予算→時給に使える割合→1日の予算人時→時間帯別の人数→個人別シフト→金額の検算」です。希望を割り当てる前に人数の枠を作れば、足りない時間帯と予算が余る時間帯を分けて判断できます。

人件費率は、人件費を売上で割った割合です。ただし、店全体の人件費率と、アルバイトの時給部分だけの比率を混ぜると、同じ予算を二重に使ってしまいます。最初に「何を含めた数字か」をそろえましょう。

シフトで動かせる人件費の割合を先に決める

月の売上予算900万円、目標人件費率30%とします。社員給与や法定福利費など、時給×勤務時間とは別に確保する見込額を90万円と置くと、アルバイト・パートの賃金に使えるのは180万円です。

項目計算金額・割合
月の売上予算入力値9,000,000円
店全体の人件費予算900万円×30%2,700,000円
先に確保する固定分等社員給与・法定福利費などの見込額900,000円
時給部分に使える予算270万円−90万円1,800,000円
時給部分に使える割合180万円÷900万円20%

この20%を、日別のシフト予算に使います。この例の固定分90万円には、社員の給与・法定福利費のほか、アルバイトの交通費や会社負担の保険料の見込みも含めています。見込額が変われば、残額と割合を更新してください。

30%はこの店の仮の目標で、飲食店共通の目安ではありません。食材費と人件費を合わせたFLコスト、その売上に対する割合であるFL比率も、費用構成を確認する指標です。(金融庁) 家賃なども含めた損益計画から、利益を残せる目標率を経営者が決め、店長にはその内訳を共有します。

計算例に使う店と、木曜の売上予測

想定するのは、ランチとディナーがあり、11:00〜22:00に営業する40席の店です。開店前10:00〜11:00に2人で仕込み、閉店後22:00〜22:30に2人で締め作業を行います。

営業中の最低人数はキッチン1人・ホール1人の計2人。ピークの上限はキッチン3人・ホール4人の計7人と設定します。この人数は席数だけで決めず、その店の作業量と動線を踏まえて置く仮定です。

木曜の売上予測は42万円、予算用の平均時給は1,400円。売上は月予算・日別予測とも税抜にそろえ、過去の同じ曜日の時間帯別の売上データから配分します。予約や天候による修正は、日計42万円との合計も確認して反映してください。

この日の現場は、後掲のアルバイト・パート14人で回す設定です。固定給の社員が現場に入る店では、社員の担当時間を先に置き、残るポジションを時給スタッフで埋めます。

1日に使える人時と、時間帯ごとの人数を出す

「人時」は人数×時間です。2人が3時間働けば6人時。出勤者が何人いるかとは別に、合計で何時間の労働を使うかを表します。

月の売上予算900万円と目標人件費率30%から固定分を除いて20%を出し、木曜の予算84,000円と60人時、人時売上高の目標7,000円を求める流れ。
目標人件費率から固定分を除き、1日の予算人時と人時売上高の目標を出す。

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木曜に使える時給部分の予算と、予算人時は次のとおりです。

項目計算結果
1日の賃金予算420,000円×20%84,000円
予算人時84,000円÷1,400円60人時

60人時には、営業中だけでなく仕込み・締めの勤務も収める必要があります。平均時給による概算なので、個人ごとの時給や深夜割増は、勤務表を作ってから金額で確かめます。

人時売上高の目標で、時間帯の売上を割る

売上を総労働時間で割ると、人時売上高になります。ここでは時給スタッフの枠を配分するための目標として、平均時給1,400円÷20%=7,000円を使います。社員を含む店全体の人時売上高と比較する場合は、対象の労働時間をそろえてください。

1時間で7,000円の売上に対し、1,400円の賃金を使えば比率は20%。したがって、11時台の売上35,000円なら、35,000円÷7,000円=5人時、1時間の枠では5人です。

下表の「予算人数」は、この割り算だけで出した人数です。「計画人数」には最低人数・上限と営業前後の作業を反映しています。

時間帯売上予測予算人数最低上限計画人数
10:00〜11:00・仕込み————2人
11:00〜12:0035,000円5人2人7人5人
12:00〜13:0063,000円9人2人7人7人
13:00〜14:0042,000円6人2人7人6人
14:00〜15:0014,000円2人2人7人2人
15:00〜16:007,000円1人2人7人2人
16:00〜17:007,000円1人2人7人2人
17:00〜18:0028,000円4人2人7人4人
18:00〜19:0063,000円9人2人7人7人
19:00〜20:0070,000円10人2人7人7人
20:00〜21:0056,000円8人2人7人7人
21:00〜22:0035,000円5人2人7人5人
22:00〜22:30・締め————2人
合計420,000円60人時——57人時

時間帯の長さが1時間以外なら、「時間帯の売上÷7,000円÷時間帯の長さ」で人数に直します。30分は0.5時間です。人数に小数が出た場合は同時に働く人数を整数にし、入退勤を30分単位で調整した後の人時を合計し直します。

最低人数と上限で挟んで計画を作る

営業中の計画人数は、予算人数を最低2人まで引き上げ、7人を超える部分を上限で止めて作ります。表計算なら「MIN(上限人数, MAX(最低人数, 予算人数))」が基本の式です。

10時から22時までの時間帯ごとに、売上から出した人数を点線、最低2人と上限7人で挟んだ計画人数を塗りの棒で示したグラフ。
時間帯の売上から出した人数(点線)と、最低2人・上限7人で挟んだ計画(塗り)。

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木曜は、営業中の最低人数補正で2人時、仕込みで2人時、締めで1人時を追加。上限によって8人時を減らすため、60+5−8=57人時となります。予算との差3人時は、必要な追加作業や割増に備える余裕として残せます。

アイドルタイムは最低人数まで上げる

15時台と16時台は、売上だけなら各1人です。しかし、キッチンとホールを同時に維持するには各2人が必要な設定なので、それぞれ1人時を足します。

2人いればよいという総数だけでなく、どちらの担当がいるかも確認してください。ホール2人では調理を担う人が欠けます。休憩中の人を人数に含めず、少なくとも各担当1人が働いている状態で判断します。

ピークは席数とポジションで止める

12時台と18時台は9人から7人へ、19時台は10人から7人へ、20時台は8人から7人へ減らします。差は2+2+3+1=8人時です。

これは、売上から逆算した予算人数と、実際の作業に必要な人数が同じとは限らないためです。この例では、キッチン3人・ホール4人の人員配置でピークを処理できると仮定しています。自店では注文集中時の提供待ちや片付けの滞留など、サービスへの影響を確認し、7人で回らなければ作業配分と上限の設定を再検討します。

計画を14人のシフトにして、人数を検算する

人数表ができたら、担当スキルと勤務できる時間を確認し、個人へ割り当てます。以下は全員が記載の担当を受け持てる成人で、シフト希望も一致しているという架空例です。

スタッフ担当勤務時間実働時給基本賃金
Aキッチン10:00〜16:006時間1,400円8,400円
Bホール10:00〜16:006時間1,400円8,400円
Cホール11:00〜13:002時間1,300円2,600円
Dキッチン11:00〜14:003時間1,400円4,200円
Eホール11:00〜14:003時間1,350円4,050円
Fキッチン12:00〜14:002時間1,450円2,900円
Gホール12:00〜14:002時間1,350円2,700円
Hキッチン16:00〜22:006時間1,450円8,700円
Iホール16:00〜22:006時間1,350円8,100円
Jキッチン17:00〜22:305.5時間1,440円7,920円
Kホール17:00〜22:305.5時間1,440円7,920円
Lキッチン18:00〜21:003時間1,400円4,200円
Mホール18:00〜21:003時間1,400円4,200円
Nホール18:00〜22:004時間1,400円5,600円
合計——57時間—79,890円

表は全員6時間以内、休憩0分で計算しています。労働基準法34条では、労働時間が6時間を超え8時間以下なら45分以上、8時間を超えるなら60分以上の法定休憩を勤務の途中に与える必要があります(2026-10-08時点)。(厚生労働省)

自店の就業規則や契約で休憩を設ける場合も、休憩者を稼働人数から外して代替者を配置します。ホール・厨房を空けない休憩の回し方は、飲食店の休憩の回し方で扱っています。始業前の準備や延長勤務があれば、その時間も含めて確認してください。

AからNの14人の勤務時間を横棒で示し、各時間帯の人数と22時以降の深夜割増の時間を示したシフト表。
14人の勤務。30分ごとに数えると計画どおりの人数になり、人件費は80,250円。

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次は30分ごとの人数です。左列・右列をそれぞれ別の30分枠として数え、22時台は前半だけを計上しています。

時間帯00〜30分30分〜次の正時勤務者
10時台2人2人A・B
11時台5人5人A・B・C・D・E
12時台7人7人A・B・C・D・E・F・G
13時台6人6人A・B・D・E・F・G
14時台2人2人A・B
15時台2人2人A・B
16時台2人2人H・I
17時台4人4人H・I・J・K
18時台7人7人H・I・J・K・L・M・N
19時台7人7人H・I・J・K・L・M・N
20時台7人7人H・I・J・K・L・M・N
21時台5人5人H・I・J・K・N
22時台2人—J・K

各30分枠が計画人数と一致します。各枠の人数の合計114に0.5時間を掛けると、57人時です。交代する16:00はA・Bが退勤しH・Iが出勤するため、人数を二重に数えません。引き継ぎで勤務を重ねる店は、その時間を追加してください。

一人ずつの時給と22時以降の割増で計算する

基本賃金の合計79,890円には、J・Kの22:00〜22:30も通常の時給で含めています。ここへ深夜割増の部分を足します。

22:00〜翌5:00の労働には、通常の賃金に対し25%以上の深夜割増が必要です(労働基準法37条、2026-10-08時点)。(厚生労働省) この例は25%を適用し、時間外・休日の割増や個別手当は発生しない仮定とします。

  • 深夜割増:1,440円×0.5時間×25%×2人=360円。
  • 予定人件費:79,890円+360円=80,250円。
  • 売上に対する割合:80,250円÷420,000円×100=19.11%。
  • 予算との差:84,000円−80,250円=3,750円の余裕。

19.11%は時給部分と深夜割増の比率です。社員分などを含む店全体の30%との比較は、月の人件費を合算して行います。予算用の平均時給で人時を決めた後、実際に割り当てた人の単価で金額を確認するところまでがシフト管理です。

作ったシフトを時間帯ごとに数え直す方法は、Excelのシフト表で時間別人数を集計する方法で扱っています。シフトラでは、日別の売上予算を入力し、時間帯・担当別の必要人数を設定してAIでシフト案を作成できます。予定勤務時間と登録した単価から人件費を集計するため、シフトを組みながら予算と比べられます(2026-10-08時点)。(シフトラ) 目標人件費率や時間帯ごとの人数を決めるのは店舗側です。生成した案も単価・勤務・休憩の設定と照合して担当者が確定し、割増賃金を含む給与計算は別に行います。

売上が低い日に、最低人数を守ると予算を超える場合

雨の月曜は売上予測28万円とします。予算は28万円×20%=56,000円、平均時給1,400円で40人時です。同じ最低人数・上限を当てはめると、次の計画になります。

時間帯売上予測予算人数計画人数
11:00〜12:0021,000円3人3人
12:00〜13:0042,000円6人6人
13:00〜14:0028,000円4人4人
14:00〜15:007,000円1人2人
15:00〜16:007,000円1人2人
16:00〜17:007,000円1人2人
17:00〜18:0021,000円3人3人
18:00〜19:0042,000円6人6人
19:00〜20:0049,000円7人7人
20:00〜21:0035,000円5人5人
21:00〜22:0021,000円3人3人
営業中の合計280,000円40人時43人時

14〜17時の最低人数補正で3人時増え、仕込み2人時と締め1人時を足すと46人時です。予算より6人時多く、営業中の最低人数を下げて解消することはできません。

仕込みの一部をアイドルタイムへ移す

開店前に必要な業務を分け、夕方までに終わればよい作業を15〜16時台へ移せるか確認します。例として、移動先の2人で接客・調理と両立できる仕事を1人時分見つけ、開店前の仕込みを2人から1人に変更したとします。開店前の製造と販売準備の分担を出勤時刻から組む例は、パン屋の開店準備シフトの組み方で扱っています。

営業中の配置は変えず、開店前だけ1人時減るので、計画は45人時になります。移す仕事の所要時間と締切を明確にし、来客対応を含めても終えられるかを確認するのが条件です。仕事そのものが消えるわけではありません。

それでも予算40人時に対し5人時超過します。平均時給での概算は45×1,400円=63,000円、売上28万円の22.5%。予算より7,000円多い計算です。これは深夜割増や個人別時給を反映する前の比較値です。

週の合計で吸収できるかを確認する

月曜の予算超過分を、他の曜日の余裕と合算します。以下は、他曜日も必要な配置を確保したと仮定する架空の週計画です。

曜日売上予測予算人時計画人時計画−予算
月280,000円4045+5
火350,000円5048−2
水385,000円5552−3
木420,000円6057−3
金490,000円7066−4
土595,000円8578−7
日560,000円8074−6
合計3,080,000円440420−20

月曜の超過を含めても、週では20人時の余裕があります。平均時給で換算すると予算616,000円に対し計画588,000円です。ここから一人ずつの時給と割増を反映し、金額でも予算内か確かめます。

雨の月曜の予算40人時に対し最低人数で46人時、仕込みを移して45人時になることと、週の予算440人時・計画420人時の表。
売上の低い日は最低人数で予算を超える。仕込みの移動で減らせる分を減らし、残りは週の合計で確認する。

図を拡大して見る

週の合計は店舗の予算判断に使うもので、個人の勤務条件の確認は別に行います。月内の他週も足し、時給部分180万円の範囲に収まるかを見てください。

週でも超過が続くなら、店長だけで人数を削る判断を抱え込まないことが大切です。最低人数を下回れない時間帯と不足額を経営者に示し、中休みの検討、作業分担にもとづく最低人数の再設定、目標人件費率の修正を相談します。

自店の数字で計算表を書き換える

まず月の損益計画から固定分と目標率を確認し、次に同じ曜日の時間帯別売上、最後に担当別の最低人数と上限を入れます。次の空欄表を表計算へコピーして使ってください。

項目自店の入力・計算欄
月の売上予算A__円
目標人件費率B__%
固定分等の見込額C__円
時給部分の月予算DA×B−C=__円
時給部分に使える割合ED÷A=__%
対象日の売上予測F__円
平均時給G__円
1日の賃金予算F×E=__円
予算人時F×E÷G=__人時
人時売上高の目標G÷E=__円

割合は表計算では「20%」のように入力します。時間帯別の表は必要な行数へ増やし、仕込み・締めも別行で足してください。

時間帯長さ・時間売上予算人数最低人数上限人数計画人数計画人時
__〜______円__________
__〜______円__________

予算人数は「売上×E÷G÷時間帯の長さ」、計画人数は「MIN(上限人数, MAX(最低人数, 予算人数))」、計画人時は「計画人数×時間帯の長さ」です。端数を調整し、担当別に成立するかを確認してからスタッフを割り当てます。

ここで示したのは予算を勤務表へ落とす手順です。業態別の相場、給与・社会保険料の計算、メニューや原価率の改善、営業時間の決定は扱っていません。自店の単価・勤務できる時間・休憩を確認し、人数表と個人別シフトを30分ごとに照合する作業が残ります。

営業後は、売上予測と実績、予定人時と実際に働いた時間を並べます。差が出た時間帯に予約変更や仕込みの遅れなどの理由を書き、次の同じ曜日の人数計画へ反映してください。

人件費率を見ながらシフトを組む飲食店の店長へ

シフトを組みながら、人件費と売上予算を確認する。

シフトラは、日別の売上予算を入力し、予定勤務時間と登録した単価から人件費を集計して、シフト作成中に費用と予算を確認できるようにします。

  • 日別の売上予算を入力・CSVで入出力
  • 予定勤務時間と登録単価から人件費を集計
  • 時間帯・担当別の必要人数を設定してAIでシフト案を作成

目標人件費率や時間帯ごとの人数を自動で決める機能ではありません。集計の精度は登録した単価・勤務区分・休憩の設定に依存し、割増賃金を含む給与計算そのものは行いません。

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