特養の夜勤で休憩を回すには、定時の巡回・介助を先に時間表へ置き、その間に同じフロアの職員が交互に休む枠を設けます。休憩者の名前だけでなく、その間の見守り担当と担当ユニットまで一緒に決めるのが出発点です。
ユニット型特養で「夜勤は4人、休憩は各2時間」と決まっていても、休憩中の引き継ぎ先が曖昧なら、実際には休めません。以下では、8ユニット・2フロアを夜勤4人で担当する架空の施設を使い、通常日の交代表、休憩中断時の記録、欠勤時の判断、コピー用の空欄表を示します。夜勤の回数そのものを職員間でそろえる方法は、AIシフトで夜勤を公平にする方法で扱っています。
この交代表は、各施設で休憩中の配置の扱いを指定権者に確認し、見守りが成立すると判断できた場合の作成例です。4人が出勤していれば、休憩中に各フロア1人で対応してよいと一律に判断するものではありません。法令・公的資料は2026-10-07時点で確認しています。
特養の夜勤の休憩は、同じフロアで1人ずつ交代する案から考える
基本形は、1階のA・B、2階のC・Dが、それぞれ同じフロア内で休憩を交代する形です。通常は1人2ユニットを担当し、相方の休憩中は1人で4ユニットを引き受けます。
ただし、見守り範囲は倍になります。「同じ階だから大丈夫」とせず、入居者(利用者)の状態、コールの受信範囲、移動経路、同時に介助が必要になったときの応援まで確認してください。条件がそろわない枠は、時間をずらすか、追加の職員を確保してから組み直します。
夜勤者の人数と担当ユニットを先に確かめる
「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」第47条第2項第2号では、夜間及び深夜について、2ユニットごとに1人以上の介護職員または看護職員を、夜間及び深夜の勤務に従事する職員として配置するよう定めています。(厚生労働省)
今回の架空例は、各ユニットの入居者を10人、合計80人とします。夜勤者は全員17:00〜翌10:00の勤務で、担当は次のとおりです。
| フロア | 夜勤者 | 通常の担当 | 担当する入居者 |
|---|---|---|---|
| 1階 | A | U1・U2 | 20人 |
| 1階 | B | U3・U4 | 20人 |
| 2階 | C | U5・U6 | 20人 |
| 2階 | D | U7・U8 | 20人 |
この条件では、8ユニット÷2ユニット=4人が人数確認の出発点です。月間勤務表に4人の名前があるかだけでなく、当日の欠勤や途中退勤がないかも確かめます。休憩中の配置の解釈は、後述のとおり別途確認が必要です。
付与する休憩時間と、休憩にならない時間を分ける
労働基準法第34条の法定休憩は、労働時間が6時間を超え8時間以下なら45分以上、8時間を超えるなら1時間以上です。勤務の途中に与え、自由に利用させることが求められます。(厚生労働省)
架空例では、施設が付与する休憩を各人120分と定めているものとします。2時間はこの施設の設定であり、特養の夜勤に全国一律で課される法定休憩ではありません。17時間の勤務枠から休憩2時間を引くと、予定労働時間は15時間です。この長さの勤務を組む前提は、就業規則や変形労働時間制など、施設の定めと労務担当の確認に委ねます。変形労働時間制の勤務表の確認方法は、1ヶ月単位の変形労働時間制のシフト表で扱っています。
休憩欄に名前を入れても、コールが鳴ったら自分で対応するよう待機を求められていれば、休憩とは扱えません。仕事をしていない時間でも、対応に備える手待時間や実際に対応した時間は、休憩から除いて考えます。(厚生労働省)
仮眠についても同じです。眠れたかどうかだけで判断せず、その時間に業務から離れられていたかを確認します。休憩に入る職員から見守り担当へコール対応を引き継ぎ、休憩者を通常の対応要員として待機させない運用が必要です。
8ユニット・夜勤4人の休憩交代表を作る
作成の順番は、定時ケア、休憩枠、見守り担当、成立条件の確認です。先に休憩を均等に並べると、巡回や排泄介助の時間に職員が足りなくなるため、入居者への対応が必要な時間から埋めます。
定時の巡回・介助の時刻を先に固定する
この例では、22:00・1:00・4:00から巡回、必要な排泄介助・体位交換を行い、5:30から起床介助が始まると仮定します。休憩と重ならないことを確認するため、開始時刻だけでなく、予定の終了時刻も書き込みます。
| 固定する時間帯 | 架空例で予定する業務 | 休憩を置く際の条件 |
|---|---|---|
| 22:00〜22:40 | 巡回・必要な介助・申し送り | 終了後に休憩を始める |
| 1:00〜1:40 | 巡回・必要な介助 | 終了後、入居者の状態を再確認する |
| 4:00〜4:40 | 巡回・必要な介助 | 中断分の取り直しは終了後に検討する |
| 5:30以降 | 起床介助 | 今回の深夜の休憩枠には使わない |
各回40分という所要時間は説明用の仮定です。自施設では、個別のケア計画と実際の業務時間に置き換えてください。休憩を入れるために、必要な体位交換や介助を一律に前倒し・後回しにする表にはしません。
表にない時間も無業務とは限りません。記録、物品準備、臨時の排泄介助などを確認し、休憩中の相方だけでは処理できない仕事が残るなら、その枠を空き時間として使わない判断が必要です。
同じフロアの2人が1時間ずつ交互に休憩する
定時ケアの間に、1時間の休憩を各人2回ずつ置きます。休憩は分割して与えることもできますが、分割した休憩がごく短いと自由に利用できず、休憩と評価されない場合があります。(厚生労働省) この例では1回を60分にしています。
以下が通常日の交代表です。時刻は翌日にまたがっており、0:00以降は翌日の時間を示します。
| 時間帯 | 休憩する職員 | 1階の見守り担当・範囲 | 2階の見守り担当・範囲 |
|---|---|---|---|
| 22:00〜22:40 | なし | A・Bで巡回・介助・申し送り | C・Dで巡回・介助・申し送り |
| 22:40〜23:40 | A・C | B:U1〜U4、40人 | D:U5〜U8、40人 |
| 23:40〜翌0:40 | B・D | A:U1〜U4、40人 | C:U5〜U8、40人 |
| 0:40〜1:40 | なし | 通常担当。1:00から巡回・介助 | 通常担当。1:00から巡回・介助 |
| 1:40〜2:40 | A・C | B:U1〜U4、40人 | D:U5〜U8、40人 |
| 2:40〜3:40 | B・D | A:U1〜U4、40人 | C:U5〜U8、40人 |
| 3:40〜5:30 | なし | 通常担当。4:00から巡回・介助 | 通常担当。4:00から巡回・介助 |
| 5:30以降 | なし | A・Bで起床介助など | C・Dで起床介助など |
17:00に日勤者から申し送りを受け、22:00までは通常の担当で勤務する設定です。交代時の申し送りは業務として行い、休憩者が戻る前に相方が休憩へ入らないようにします。申し送りが延びれば実際の休憩開始時刻も変わるため、表の予定時刻で取得済みにしないでください。
休憩時間は、A・Cが22:40〜23:40と1:40〜2:40、B・Dが23:40〜0:40と2:40〜3:40です。全員が60分×2回=120分となり、同じフロアの2人が同時に休む枠はありません。定時ケアの予定時間帯とも重ならない組み方です。
休憩中の見守り範囲と連絡方法を枠ごとに確かめる
交代表を完成扱いにする前に、各枠を次の確認表で点検します。同じ条件が続くように見えても、入居者の状態や機器の設定変更があれば、該当する枠を確認し直してください。
| 休憩枠 | フロア・見守り担当 | 全ユニットの受信 | 移動経路 | 予定介助なし | 応援先 |
|---|---|---|---|---|---|
| 22:40〜23:40 | 1階・B | □ | □ | □ | 記入 |
| 22:40〜23:40 | 2階・D | □ | □ | □ | 記入 |
| 23:40〜0:40 | 1階・A | □ | □ | □ | 記入 |
| 23:40〜0:40 | 2階・C | □ | □ | □ | 記入 |
| 1:40〜2:40 | 1階・B | □ | □ | □ | 記入 |
| 1:40〜2:40 | 2階・D | □ | □ | □ | 記入 |
| 2:40〜3:40 | 1階・A | □ | □ | □ | 記入 |
| 2:40〜3:40 | 2階・C | □ | □ | □ | 記入 |
「全ユニットの受信」は、担当する4ユニットのナースコール・センサー通知を、見守り担当のPHSなどで受けられるかという確認です。転送したつもりで終えず、施設の手順に沿って受信先を確かめます。
「移動経路」は、施錠や扉、距離を含めて必要な場所へ行けるか。「予定介助なし」は、その枠に定時の介助や2人で行う予定のケアがないかを意味します。臨時の対応が発生しないという意味ではありません。
「応援先」には連絡相手、連絡方法、来援までの見込みを記入します。この例では両フロアで同時に1人ずつ休むため、別フロアの職員を応援に呼ぶ場合は、そちらの見守りを誰が引き継ぐかも決める必要があります。連絡先があるだけで、直ちに応援できるとは扱わないでください。
休憩中に呼ばれた夜は、中断時間を記録して取り直す
次は、Aの2回目の休憩が中断した架空例です。2:10にU2のセンサーが鳴り、通知を受けたBはU3で介助中だったため、応援が必要と判断してAを呼んだとします。Aは2:10〜2:30に対応し、記録とBへの引き継ぎを2:40までに済ませます。
急変などの緊急時は、施設の対応手順に従って必要な職員を呼びます。そのうえで、呼び出された職員が対応した時間を休憩として処理しないことが大切です。予定表の「1:40〜2:40」をそのまま勤怠の休憩欄へ転記せず、実際に休めた区間を残します。
| Aの実際の時間 | 扱い | 記録する内容 |
|---|---|---|
| 1:40〜2:10 | 休憩30分 | Bへ見守りを引き継いで休憩開始 |
| 2:10〜2:40 | 労働30分 | Bから応援要請。2:30までU2で対応し、記録とBへの引き継ぎ |
| 4:40〜5:10 | 休憩30分を取り直し | BがU1〜U4の40人を見守る |
この計算は、Aが呼び出しの前に業務から離れていた場合の例です。最初から「いつでも対応できるよう待っていて」と指示されていたなら、呼ばれた時間だけを労働時間へ直せばよいとは限りません。待機を含めた実態を労務担当へ伝えて確認します。(厚生労働省)
残りの30分を4時40分からまとめて取り直す
Aの2回目に実際に取れた休憩は30分です。2:30に対応を終えても、予定の終了まで10分しか残りません。分割した休憩がごく短いと休憩と評価されない場合があるため、10分だけ休憩に戻すのではなく、残りの30分を4:40〜5:10にまとめて取り直します。(厚生労働省)
この枠は、4:00からの巡回・介助が4:40に終わり、Bが見守りを引き受けられるという仮定で設定しています。Bの休憩は3:40までに終了しており、5:30の起床介助とも重なりません。4:40直前にケアの残りと入居者の状態を確認し、成立する場合にAが休憩へ入ります。
検算すると、Aの合計は次のとおりです。
1回目60分+2回目の前半30分+取り直し30分=120分。 中断の記録には、職員名、開始・終了時刻、呼び出した理由、対応内容、取り直した時間と見守り担当を残します。休憩を取れなかった事実と、その後に取り直した事実がつながる形にしてください。
4:40にも対応が続いていれば、この予定を取得済みにせず、管理者へ連絡して別の枠や交代要員を調整します。勤務終了までに確保できなかった場合は、実際の休憩時間と労働時間を記録し、賃金の扱いも労務担当と確認します。支払いの処理と、休憩を確保するための運用改善は両方必要です。
交代表が成り立たない夜は、人数と見守り条件を見直す
いつもの表を使えるかどうかは、その夜の勤務者と入居者の状態で変わります。特に、欠勤による人数不足と、配置人数はいても相方の範囲を引き受けられない状況は、分けて判断してください。
夜勤者が1人欠けたら、休憩表より代替者の確保が先
Dが欠勤すると、8ユニットに対して夜勤者はA・B・Cの3人です。この例で必要とする4人を下回るため、休憩の順番を変えるだけでは解決しません。
| 当日の状態 | 人数・担当の確認 | 判断 |
|---|---|---|
| A〜Dの4人が勤務 | 8ユニットに4人 | 配置の扱いと見守り条件を確認し、交代表を検討 |
| Dが欠勤 | 8ユニットに3人、1人不足 | 管理者へ連絡し、代替者を確保 |
| Bを2階へ移す | 1階1人、2階2人、合計3人 | 移動しても施設全体の不足は解消しない |
| 代替職員Eが勤務 | 必要な時間帯の人数・担当を再確認 | Eへの申し送り後、休憩枠も再点検 |
2ユニットごとに1人という人数の計算では、3人は6ユニット分にとどまります。Bを2階へ移しても、今度は1階の4ユニットをAだけで担当することになるため、単なるフロア間の移動では不足を埋められません。(厚生労働省)
代替者については「連絡がついた」だけでなく、いつから勤務でき、どのユニットを担当できるかを確認します。到着前の不足を残したまま、勤務表全体を4人体制として扱わないことも必要です。
コールや声が届かないユニットを任せない
Bの休憩中、U3・U4のコールがAのPHSへ届かず、ユニット間の移動にも時間がかかるなら、先ほどの交代表は確定できません。Aの名前を見守り担当欄に書くだけでは、対応できる状態にならないためです。
まずPHSの受信・転送設定と移動経路を確認し、解消しなければ、遅番と重なる時間の活用や夜間の追加要員を検討します。別フロアの応援を使う場合も、その職員が担当している入居者への対応を残さない組み方が必要です。
同時に介助が必要になる場面が続き、休憩者を何度も呼んでいるなら、予定ケアの配置や応援体制を変更します。中断分の計算だけを繰り返す運用では、予定どおり休める体制ができたとは判断できません。
休憩中の配置基準の扱いは指定権者に確認する
省令第47条は、昼間についてはユニットごとに常時1人以上、夜間及び深夜については2ユニットごとに1人以上を夜間及び深夜の勤務に従事する職員として配置する書き方です。昼間と夜間の文言が異なりますが、これだけで休憩中の具体的な見守り方法まで認められたとは判断できません。(厚生労働省)
一方、厚生労働省の「平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1)」問91には、夜勤職員配置加算に関する延夜勤時間数の計算で、通常の休憩時間を含めてよいとの回答があります。ただし、大半を仮眠しているなど、実態が宿直に近い場合まで含めることは認めていません。(厚生労働省)
これは加算計算の質問に対する回答です。労働基準法上の休憩を労働時間に変える説明でも、どの施設でも休憩中に1人で4ユニットを見守ってよいとする包括的な根拠でもありません。休憩中に仮眠することと、勤務の大半が仮眠で宿直に近い状態であることも区別します。
指定権者には、勤務時間、各職員の担当、休憩交代表、平面図、コールの受信範囲、応援方法をそろえて確認すると、具体的な配置の扱いを相談できます。回答は確認日、担当部署、示した条件と一緒に記録し、その条件を交代表にも反映してください。認められる扱いや必要な体制が確認できるまでは、この例をそのまま運用へ移さないようにします。
対象は、上記のユニット型特養の休憩交代です。グループホームなど1ユニットを1人で担当する介護施設の夜勤の法的判断、夜勤職員配置加算の算定・届出、見守り機器による配置要件の緩和は扱っていません。
自施設の夜勤の休憩交代表に書き換える
次の空欄表は、普段の勤務表や表計算ソフトへコピーして使えます。1行を「1フロアの1人分の休憩枠」とし、必要な行数を増やしてください。施設全体の休憩者を一つの欄へまとめるより、誰が誰の担当を引き受けるかを確認できます。
| 日付・フロア | 休憩者・通常担当 | 休憩開始〜終了 | 見守り担当 | 引き受けるユニット・人数 | 受信・移動・予定介助の確認 | 応援先 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| __ | __ | __〜__ | __ | __・__人 | __ | __ |
| __ | __ | __〜__ | __ | __・__人 | __ | __ |
| __ | __ | __〜__ | __ | __・__人 | __ | __ |
| __ | __ | __〜__ | __ | __・__人 | __ | __ |
記入は、次の順序で進めます。
- フロア別のユニット数・入居者数・当日の夜勤者と通常担当を書く。
- 勤務の開始・終了時刻、施設が付与する休憩時間を確認する。
- 巡回・排泄介助・体位交換・起床介助の開始から終了までを先に埋める。
- 同じフロアで重ならない休憩枠と見守り担当を入れる。
- 枠ごとの成立条件を点検し、職員別に休憩時間を合計する。
予定と実績は分けて残します。中断があった行には、対応した時間と取り直しの行を関連づけ、夜勤明けに各人の取得時間を再計算してください。合計だけでなく、誰の休憩がどの場面で途切れたかまで分かれば、次回はその時間帯の業務や応援を変更できます。
月間のシフト管理では、まず各日に必要な夜勤者を割り当てます。月間の夜勤の組み方は、介護のシフト作成のコツで扱っています。シフトラでは、「8ユニットの夜は夜勤4人」「夜勤明けは休み」のような条件を自然な日本語で入力し、シフト希望や必要人数とあわせてAIでシフト案を作成できます(2026-10-07時点)。(シフトラ)
その勤務案を確定した後も、夜勤中の休憩交代、見守り範囲、実際の取得時間は施設で確認する作業として残ります。自施設の定時ケアと連絡体制に書き換えた交代表を夜勤者間で共有し、中断した夜も含めて、各人が実際に休めた時間まで確かめてください。